待兼山俳句会
第588回 平成29年4月17日
兼題 草若葉・凧(あや)
春の宵・沈丁花(浩一郎)
柳・蛍烏賊(幹三)
席題 卓上に 山吹、満天星の花
チューリップ
選者吟
世を共に棲み来し妻と春の宵 浩一郎
木々の間に国ひとつあり沈丁花
果てもなき海に向うて凧揚がる
沈丁の香の深き日の狡休み 幹三
吹かれをり踏まれをり草若葉かな
芽柳を分けて舟出す長き棹
選者選
あや 選
春宵やワルツ聞きつつワイン酌み 嵐耕
書を読みていつしか暮れぬ沈丁花 暁子
しみじみと仰ぐ齢や花の雲 京子
◎世を共に棲み来し妻と春の宵 浩一郎
◎波立てば波の形に蛍烏賊 兵十郎
宵闇に浮かぶ山家や沈丁花 昴
◎汚染地に草若葉萌ゆ帰村の日 安廣
地震あとのいまだ空地や草若葉 暁子
風の渦萩の若葉にそつと触る 邦夫
◎芽柳の風つかみては放ちては 浩風
西空にシリウス眩し春の宵 翠
◎蛍烏賊きらめく夜の海の星 京子
沈丁の香に誘はるる墓参かな 洋一
春宵や気にかかりゐし文を書く 暁子
山の辺の道いきいきと草若葉 昴
◎柔軟な頭でゐたし草若葉 太美子
◎主婦業も半世紀なり春菜漬く かな子
隣より沈丁の香と杖の音と 邦夫
沈丁の香により添うて暮らすかな 浩一郎
大空に唯我独尊奴凧 瑛三
満月のしつとりとして春の宵 京子
風にゆれ日差しをはじく青柳 嵐耕
水鏡のぞき込むかに柳ゆれ 眞知子
柔らかな日ざし溢れて草若葉 京子
柳揺る抱きたきやうに手をのべて 暁子
しやぼん玉独り離れて吹く子かな 洋一
遅桜待つと信じて国離る 乱
春の宵沖行く船の水脈光る 兵十郎
凧高し地に豆粒の如く我 幹三
満天星の鈴の音のふと鳴るやうな 輝子
春の宵ひそかに待てる娘の電話 輝子
うれしさが重さに勝るランドセル かな子
子に持たす高く揚げたる父の凧 洛艸
春の宵抱けば幼子すぐ眠る 邦夫
浩一郎 選
いかのぼり春のどけしやこのあした 磨央
◎そぞろ行く祇園小路や春の宵 洛艸
草若葉帰宅の早き一年生 輝子
◎沈丁花昭和を住みて去りし家 眞知子
◎春の宵紅茶に落とす角砂糖 眞知子
揚げてから持たせて貰ふ凧の糸 暁子
握手して友と別れし春の宵 元彦
奴凧宙返りして落ちつかず 洛艸
◎日暮るれば香のしのび寄る沈丁花 輝子
橋くぐる遊覧船や春の宵 兵十郎
棚田なす粗き石垣草若葉 兵十郎
雨意の園沈丁の香の重たかり 瑛三
◎春宵や気にかかりゐし文を書く 暁子
沈丁の香りは重し宵の闇 安廣
◎芽柳を分けて舟出す長き棹 幹三
満月のしつとりとして春の宵 京子
柔らかな日ざし溢れて草若葉 京子
柳揺る抱きたきやうに手をのべて 暁子
◎吾がために買ふ春宵の赤ワイン 翠
星空の立山海に蛍烏賊 瑛三
◎しやぼん玉独り離れて吹く子かな 洋一
遅桜待つを信じて国離る 乱
吹かれをり踏まれをり草若葉かな 幹三
急に揺れまた静もれる柳かな 邦夫
◎満天星の鈴の音のふと鳴るやうな 輝子
川柳銀座の端の煎餅屋 橙
春の宵ひそかに待てる娘の電話 輝子
病む友とつい長話春の宵 元彦
春の宵抱けば幼子すぐ眠る 邦夫
やうやつと絡み合ひたりいかのぼり 邦夫
幹三 選
花まつりの日に生まれたる嫁なりき かな子
極上のワインのありて春の宵 暁子
◎書を読みていつしか暮れぬ沈丁花 暁子
沈丁花昭和を住みて去りし家 眞知子
◎春の宵紅茶に落とす角砂糖 眞知子
揚げてから持たせて貰ふ凧の糸 暁子
波立てば波の形に蛍烏賊 兵十郎
チューリップ大笑ひして園真昼 瑛三
送別や苦楽酢に和へ蛍烏賊 和江
ひと重なる山吹そよと風流す 兵十郎
ただならぬ気配老いたる宵ざくら かな子
◎目交ひをたしかにあれは初つばめ かな子
凧ふによふによとあがりけり 橙
父のもと母を納めて沈丁花 橙
ほろ酔の街春宵の風まかせ 安廣
◎沈丁の香により添うて暮らすかな 浩一郎
時代劇撮りたきやうな川柳 暁子
◎桜煮といふ一皿や蛍烏賊 言成
◎声あげて凧天界に入りゆく 暁子
青柳の橋にその名を渡し跡 瑛三
みよし野の静寂のあまき春の宵 太美子
灯の下にまなこ開いて蛍烏賊 浩一郎
迷ふことありてたんぽぽの黄のまぶし
かな子
◎春の宵抱けば幼子すぐ眠る 邦夫
糸柳駅前広場やさしくし 言成
しやぼん玉独り離れて吹く子かな 洋一
鉄瓶の湯の沸く音や春の宵 昴
走り走る青き光よ蛍烏賊 安廣