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第613回 平成30年11月19日

 

兼題 帰り花・目貼(幹三)

   冬めく・落葉全般(暁子)

卓上に 石蕗の花・寒菊 当季雑詠

通じて八句

選者吟

獣らと落葉の中に眠りたし     幹三

幾たびも指さされをり帰り花

冬めくと言うてしまへば冬めきぬ

冬めくやあれこれせねばならぬこと 暁子

冬めくや風音身より離れざる

目貼して風と世の中から遠く

              

選者選

幹三選

住む人の老いて落葉のたまりたる  かな子

冬めくや鋤きたるままの長き畝   邦夫

落城の跡帰り花二つ三つ      瑛三

固辞せしに太き大根抱き帰る    輝子

冬めくやあれこれせねばならぬこと 暁子

落葉山座れば足の上りけり     橙

冬めくや朝餉の匂ひ暖かき     昴

落葉踏む足裏にやさし女坂     瑛三

◎足音を追ひかけてゆく落葉道   橙

◎塀の外人通るらし朴落葉     昴

◎思ひ思ひそれぞれの服冬めきて  乱

背をかがめ小走る媼冬めける    洛艸

終の香を放つ落葉を籠に詰め    輝子

鏡花には菊手向けられ雑司ヶ谷   かな子

あらためて覚悟ありけり目貼して  太美子

朝雲のまばらに光り冬めきて    嵐耕

山吹の盛りのやうに帰り花     太美子

冬めきてゆつくり鳥の降り立ちぬ  橙

目貼して窓打つ風のいとほしき   昴

◎目つむれば日に温みあり冬めきぬ 眞知子

伝へ聞き皆で見に行く帰り花    洛艸

燈籠の一画照らす石蕗の花     言成

横縞のシャツ着てにはかラガーマン 洋一

◎明日こそ明日こそはと落葉踏む  昴

勧進に落葉の道を来られけり    太美子

冬めきて夫婦飲む酒まろやかな   りょう

落葉掃き止めては喜々と寺縁起   和江

帰り花見つけし旅を最後とし    太美子

◎電飾やにはか冬めく御堂筋    瑛三

帰り花幼子は摘む遠慮なく     朱美

◎独り踏む落葉の音や空青し    安廣

目貼する祖母の器用を受け継がず  かな子

呼び止める声はあの人帰り花    和江

銀杏散るマルクス学徒今いずこ   りょう

膝上に弁当乗せて小六月      橙

はやばやと目貼張り終ふ山の小屋  洛艸

冬めく日駅前書店廃業と      輝子

迎へ花とし門に添ふ石蕗の花    眞知子

◎冬めくや風音身より離れざる   暁子

暁子選 

住む人の老いて落葉のたまりたる  かな子

カップルの自転車走る帰り花    安廣

足音を追ひかけてゆく落葉道    橙

帰る人来る人の踏む落葉かな    幹三

◎固辞せしに太き大根抱き帰る   輝子

◎帰り花こころ折れたる帰り道   かな子

君あらば傘寿寒菊供へけり     翠

塀の外人通るらし朴落葉      昴

◎目貼して必勝祈る十五歳     りょう

終の香を放つ落葉を籠に詰め    輝子

鏡花には菊手向けられ雑司ヶ谷   かな子

あらためて覚悟ありけり目貼して  太美子

◎地震の郷目貼遺して人去りぬ   盛雄

◎獣らと落葉の中に眠りたし    幹三

杣径に落葉豊かな香を流し     兵十郎

◎落柿舎の目貼に透ける光かな   幹三

港の灯雨あし照らし冬めきぬ    昴

薄煙僧ただ一人落葉焚く      安廣

落葉踏みそーつとのぞくよはてなの巣 朱美

人生初パリパリ孫の落葉踏み    乱

帰り咲く花や西行終焉の地     翠

曲屋の厩も目貼しつかりと     洛艸

供花に足す寒菊今朝も五六輪    言成

夕暮れの冬三日月にぶら下がる   橙

◎ビル風に群れ舞ふ落葉蝶のごと  嵐耕

柿紅葉夕餉の膳に添へてみる    安廣

電飾やにはか冬めく御堂筋     瑛三

子ら描く消防車の絵街立冬     翠

我もまたこの世に未練帰り花    言成

目貼しつふと懐かしむ中也の詩   和江

落葉踏みリスの駈くるや山の庵   遊子

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