待兼山俳句会
第614回 平成30年12月17日
兼題 冬木・クリスマス一切(幹三)
おでん・セーター(暁子)
選者吟
セーターに顏だすための穴のあり 幹三
しづかなる冬木に斧の打たれたる
むかし話泣く奴もゐておでん酒
仔羊のごと子の眠る聖夜かな 暁子
帰宅してセーターを着て父となる
それぞれに寂しさ持ちておでん酒
選者選
幹三 選
石蕗に縁取られたる坂登る 橙
クリスマスどこかで誰かが祝つてる 眞知子
羊のごと子の眠る聖夜かな 暁子
◎大聖樹中央に置く旧市街 兵十郎
白樺へ冬木の替る峠道 兵十郎
柔らかく蕪煮え初めてのポトフ 翠
東大寺鴟尾見え隠れ冬木越し 乱
◎蕪膾今日の女将の上機嫌 兵十郎
しぐれきて淋しき夜を残しけり かな子
セーターより顔出て迷ひふつ切れる 翠
帰宅してセーターを着て父となる 暁子
席詰めて見知らぬ人とおでん酒 洛艸
◎大いなる聖樹のロビー君を待つ 太美子
大冬木残し団地の建て替る 兵十郎
◎潮風に強きセーターてふを買ひ 兵十郎
◎セーターに着替えて妻の退院す 盛雄
袋入りおでん温める独り膳 洋一
小さくともすべてととのふ聖樹かな 洛艸
セーターの野球選手の胸厚き 邦夫
一瞬の闇の不安よセーター着る 翠
浜ごとに隠れ耶蘇あり聖夜あり 兵十郎
◎てつぺんのうろ静もりて大冬木 かな子
根瘤ふみ空をあふぐや大冬木 邦夫
◎諍へばセーターを編むひたすらに 輝子
食卓の小さき聖樹や老二人 安廣
曇天を掴むばかりに大冬木 盛雄
旨してふスープにせむか蕪買ふ 輝子
こんな日はセーター赤に頑張るぞ 太美子
暁子 選
おでん煮る妻は楽しき明日を秘め 太美子
◎牧無辺聖夜に南十字星 遊子
LED纏ふて日暮待つ冬木 言成
街路樹みな聖樹となりぬ御堂筋 幹三
第九の熱気そと受け止めて冬木立 翠
残酷な世に細々と聖夜の灯 乱
◎侘しさを冬木の枝に掛けにゆく 眞知子
大聖樹中央に置く旧市街 兵十郎
白樺へ冬木の替る峠道 兵十郎
注連巻きて村守る冬木亭々と 洛艸
東大寺鴟尾見え隠れ冬木越し 乱
セーターの夫の手伝ふ厨事 洛艸
◎いつ着ても形見のセーター暖かい 朱美
秘め事のおでんつつきつ明かす仲 和江
喜寿過ぎて今もおでんの玉子好き 乱
大冬木残し団地の建て替る 兵十郎
◎セーターの色合に凝る八十路かな 元彦
気に入りのセーターにある小さき穴 橙
セーターに着替えて妻の退院す 盛雄
◎きびきびと始発の点呼息白し 遊子
クリスマス難民たちにいつ平和 茉衣
◎セーターに顔出すための穴のあり 幹三
シンプルといふ迫力で立つ冬木 眞知子
諍へばセーターを編むひたすらに 輝子
むかし話泣く奴もゐておでん酒 幹三
前うしろ爺婆運転冬木道 洋一
◎霊柩車ひと声残し冬木立 りょう
遅れたる施肥と土寄せ日短か 邦夫