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第626回  王子動物園吟行

      令和元年9月29日(日)

 

選者吟

昏々と眠る山猫草は穂に       幹三

秋晴の駝鳥の広き一歩かな

河馬の背と気づかぬままの蜻蛉かな

 

猛獣の檻に出入りの小鳥かな     暁子

象の耳ペらんペらんと秋の風

道問へば彼も旅人竹の春

 

選者選

幹三選

秋風をぺろぺろしたるキリンかな   邦夫

◎浮かび来し河馬の息吹や秋の空   正信

猛獣の行つたり来たり秋淋し      乱

秋晴れや遊園具みな子を乗せて   眞知子

秋暑し象水浴びてまだらなり      橙

◎なほ伸びるキリンの首や秋の空   正信

秋晴れや背に砂かくる象の鼻     邦夫

◎秋天と大地行き交ふ観覧車     正信

オランウータンとウインク交はす秋日和

瑛三

秋惜しむ独り暮らしのパンダかな   言成

秋の蝶動物園をひらひらと      言成

河馬の背のすつかり乾き天高し     橙

◎台風来檻のコアラに動きなく    言成

水中を出ぬ河馬の背に秋日燦    眞知子

◎猛獣の檻を出入りの小鳥かな    暁子

まだ眠しコアラ樹を抱き秋ひと日  眞知子

秋日傘糞落とされてをりにけり    輝子

秋暑し象はシャワーのボタン押す   瑛三

象の耳ぺらんぺらんと秋の風     暁子

 

暁子選

浮かび来し河馬の息吹や秋の空    正信

抱かれて草食べ続くパンダかな    元彦

◎俯けるチンパンジーの秋思かな   邦夫

主居ぬ檻に色なき風の吹く       橙

猛獣の行つたり来たり秋淋し      乱

黒豹の座り直して秋うらら       橙

◎なほ伸びるキリンの首や秋の空   正信

秋天と大地行き交ふ観覧車      正信

老猿の目閉ぢ色なき風の吹く     幹三

鰯雲腹出し眠る檻の獅子       正信

秋暑し北極熊のくたびれて      輝子

秋惜しむ独り暮らしのパンダかな   言成

秋風を吸ひ尽くさんと河馬の口    正信

◎秋の声集めて象の耳の襞      正信

河馬の背のすつかり乾き天高し     橙

腹見せて獅子の眠りて秋高し      橙

象夫婦鼻をつないで秋の日      瑛三

◎いわし雲目指し小ぶりの観覧車   輝子

象の目元皺か涙か秋雨か        乱

カンガルーもコアラも瞑想秋の昼   茉衣

◎ウインクして河馬は水没秋暑し   輝子

◎秋暑し象はシャワーのボタン押す  瑛三

河馬の背と気づかぬままの蜻蛉かな  幹三

◎秋うらら丸太の如く河馬浮かぶ   輝子

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