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第606回 平成30年6月

    地震のため後選のみ

選者吟

庭先の実梅たわわに日当れる    浩一郎

ででむしの動いて細き草揺るる

蛍の飛び交ふ藪を帰りけり

でで虫に渦巻く夜の来りけり    幹三

手の平のくぼみにもらふ螢かな

角出して何か知りたき蝸牛

 

選者選

浩一郎 選

でで虫にうれしき雨や身を伸ばし  太美子

ででむしの渡り終へるを見届けぬ  翠

◎雨静か時に実梅の落ちる音    暁子

亡き妻と見し蛍の灯目の底に    洋一

若竹は昔なじみののれんの灯    磨央

◎新しき風吹き次の実梅落つ    幹三

実梅漬く母より姑を近くして    太美子

若竹や青年夢を忘れずに      瑛三

雨に濡れ朱色あざやか花石榴    茉衣

かたつむり世界は広いぞ頭だせ   洋一

山峡の闇に蛍火柔らかく      洛艸

岩と海キャンプの夜の蛍狩     茉衣

蝸牛女人高野の里に棲み      瑛三

◎小雨降る草の間に間に螢かな   暁子

山道にはみだしそよぐ今年竹    洛艸

角出して何か知りたき蝸牛     幹三

◎満天の星の下なる螢の火     京子

◎緋袴の巫女色づきし実梅もぐ   乱

◎友を呼び蛍待つなり貴船川    昴

鉢裏に潜むででむし小さき子も   洛艸

三山をはるかに望み田植かな    遊子

◎若竹のすらりと伸びて空青し   安廣

友逝きて飲む酒一人蛍飛ぶ     りょう

◎山峡に蛍火脈を搏つごとく    洛艸

大風の吹いて蛍の散らばりし    橙

◎手の平のくぼみにもらふ螢かな  幹三

フロリダの大波小波夏帽子     茉衣

蛍追ふ子を追ふ母も笑顔かな    安廣

ゆつたりと独りの時間かたつむり  京子

若竹に空は開けてをりにけり    幹三

幹三 選

でで虫にうれしき雨や身を伸ばし  太美子

ででむしの渡り終へるを見届けぬ  翠

雨静か時に実梅の落ちる音     暁子

若竹や出でし一本しなりをり    橙

実梅ひとつ落ちて転がる遠くまで  浩一郎

蛍ひとつマイクロバスにまぎれこむ 輝子

ででむしの意外に速き枝の先    安廣

海に果つ武家の盛衰沙羅の花    りょう

山峡の闇に蛍火柔らかく      洛艸

◎蛍飛ぶ光と闇を引き摺りつ    眞知子

庭先の実梅たわわに日当れる    浩一郎

狼やあい螢の叫び空に消ゆ     翠

小雨降る草の間に間に螢かな    暁子

かたつむり精々長生きしなはれや  言成

モンブラン見ゆるテラスのかたつむり 昴

◎若竹を抜けし風受く散歩道    眞知子

ででむしの動いて細き草揺るる   浩一郎

青々とのびのびとのび今年竹    嵐耕

今年竹はや里山の景となる     翠

◎銀色の空気纏ひて実梅浮く    安廣

実梅生る見える人にはよく見えて  暁子

蛍の飛び交ふ藪を帰りけり     浩一郎

◎ころがり来実梅雲間に青き空   兵十郎

若竹の皮脱げさうでまだ脱がず   言成

三山をはるかに望み田植かな    遊子

若竹のすらりと伸びて空青し    安廣

◎人も又蛍に合はす息づかひ    太美子

山峡に蛍火脈を搏つごとく     洛艸

大風の吹いて蛍の散らばりし    橙

月山や仏も召さる蛍狩       和江

蛍追ふ子を追ふ母も笑顔かな    安廣

◎ゆつたりと独りの時間かたつむり 京子

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