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第624回  令和元年8月19日

 

兼題 魂祭・稲の花(幹三)

残暑・白粉の花(暁子)

 

選者吟

日は近江富士の真上に稲の花     幹三

かんたんな家系図書きて魂祭

店先に鸚鵡の喋る残暑かな

魂祭今年も祀る側にゐる       暁子

稲の花かすかに飯の匂ひかな

大方の恥忘れゆく残暑かな

 

選者選

幹三選

山小屋に願ひあれこれ星祭      正信

娘も母になりて門火の輪の広き    洋一

◎おしろいや嫁そつくりの孫娘     翠

白き蘭白き気根の伸びやかに    兵十郎

もの言はず残暑のひと日やりすごす  輝子

水口を開けてまた閉づ稲の花     邦夫

勢いが残暑に負けるホース水     茉衣

◎稲の花かすかに飯の匂ひかな    暁子

女先生葡萄一房吾に呉れし       乱

◎帰らざるアニメも祀り地蔵盆    言成

◎白粉の花をもぎとる少女かな    洋一

秋立ちぬホールを満たすレクイエム  安廣

寝ねがてのいつしか明くる残暑かな かな子

◎数式のつづく講義や秋の蝉     正信

◎夏休み大きく雲の広がりぬ      橙

へたりしと返信の来て街残暑     輝子

◎白粉花めいわくそうに奔放に    和江

過去帳の戒名読めず魂祭る      瑛三

夢を見た棚田一面稲の花       朱美

残暑光無帽の頭皮舐めにけり     邦夫

新涼や短く爪を切りにけり       橙

下校の子白粉の咲く径にそれ     輝子

大方の恥忘れゆく残暑かな      暁子

一瞬の静寂白球は秋天へ      かな子

村道の一本波打つ稲の花        翠

流灯の寄りつ離れつ帰りたり     遊子

 

暁子選 

亡き犬の名を呼んでやる魂祭     幹三

早稲の穂の波見晴るかす天守かな   正信

もの言はず残暑のひと日やりすごす  輝子

安堵して翁の帰るや稲の花      邦夫

◎日は近江富士の真上に稲の花    幹三

店先に鸚鵡の喋る残暑かな      幹三

帰らざるアニメも祀り地蔵盆     言成

焼きそばの匂ふ残暑の浜掃除     正信

高い空弾む気持ちを圧(お)す残暑   朱美

秋立ちぬホールを満たすレクイエム  安廣

日航事故あの日も残暑友逝きし    瑛三

◎魂祭病気自慢の僧来たる      輝子

◎吟行の残暑を癒す酒処       瑛三

◎コンビニに隣る一枚稲の花     輝子

肉厚な花弁食べたし蘭の花       橙

画像指し癌を告げられ風死せり   りょう

にこやかな人の配りし葡萄かな    幹三

かんたんな家系図書きて魂祭     幹三

西陣や機屋の軒端白粉花       瑛三

◎どの家も路上駐車や魂祭      洋一

七夕や織女繰り出す織りの街     遊子

コウノトリの里に拡がる稲の花    遊子

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