待兼山俳句会
第616回 平成31年2月18日
兼題 余寒・水菜(幹三)
早春・梅一切(暁子)
選者吟
早春の山へ山彦聞きにゆく 幹三
君たちの若きくるぶし草萌ゆる
なにごともなき日侘助剪りにけり
足摺の海まだ固し紅椿 暁子
頭ばかり光る撫牛梅日和
侘助や石庭の刻止まりをり
選者選
幹三 選
穏やかに山連なりて二尽 橙
動物と鉄柵にある余寒かな 橙
◎頭ばかり光る撫牛梅日和 暁子
発車待つ車内抜けゆく余寒かな 太美子
旅立ちに一枚はおる余寒かな 嵐耕
片付かぬ書斎に潜む余寒かな 言成
◎古傷に時に触れたる余寒あり 邦夫
春寒やオランダ坂の上り下り 遊子
窓を開け思はず叫ぶ余寒かな 昴
寂光院へ家並の影にある余寒 乱
軽やかに切りし水菜の細き茎 橙
◎帰宅して点すひと灯の余寒かな 翠
◎足摺の海まだ固し紅椿 暁子
◎エンディングノート買ひたる余寒かな
正信
友迎ふ漸く咲きし梅一輪 安廣
◎春風や息ゆたかなる象の鼻 正信
◎住み古れば残る寒さもわがものに 翠
阿吽の仁王のにらむ余寒かな 輝子
湖北路や一駅ごとに雪深く 遊子
膨らみて食べたくなりし松雪草 橙
はりはり鍋水菜緑のあせぬうち 瑛三
◎木道に水ひたひたと春浅し 昴
春浅き最終講義イ号館 りょう
侘助や石庭の刻止まりをり 暁子
朝市の赤き水菜や旅の空 昴
梅の香を教へむ父の肩車 翠
叩きなば音のしさうな寒の月 安廣
日あたりを選んで歩く余寒かな かな子
ほまち田の水菜一畝あさみどり 太美子
水菜煮る古き土鍋のひび模様 安廣
暁子 選
早春の山へ山彦聞きに行く 幹三
侘助や苦吟の句座を和ませて 瑛三
北の空昏く余寒を運ぶ風 言成
羽拡げ飛び立ちさうな松雪草 言成
◎陽炎の中にどつかと牛の背ナ 正信
わき水に集ひ水菜を洗ひたり 兵十郎
◎盆梅展大地知らざる梅並ぶ 眞知子
鍋沸騰水菜がばつと投げ入れよ 乱
大玻璃戸朝じめりする居間余寒 嵐耕
何ごともなき日侘助剪りにけり 幹三
校庭に裂帛の気や寒稽古 安廣
春寒やオランダ坂の上り下り 遊子
ここはもう洛外どすえ京菜かな 幹三
帰宅して点すひと灯の余寒かな 翠
布袋さま臍(ほぞ)隠されよ堂余寒 瑛三
早々と熱き湯舟に入る余寒 眞知子
梅三分両手につつむ汁粉椀 輝子
散髪の帰路首すじにくる余寒 洛艸
◎厨占拠産直大株水菜かな 翠
スノードロップ萼守る蕊の翠濃し 兵十郎
軒の梅愛でて辞したる友の家 邦夫
日脚伸ぶ伽藍の奥の阿修羅像 盛雄
◎春風や息ゆたかなる象の鼻 正信
水菜煮る古き土鍋のひび模様 安廣
ほまち田の水菜一畝あさみどり 太美子
余寒なほ宵に輝く天狼星 言成
◎夢覚めてベンチに独り梅日和 翠
◎隠れ里なりし湖北の梅の里 遊子
春浅し祖母恋しさに人形展 和江
春浅き最終講義イ号館 りょう