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第612回 平成30年10月30日

     吟行 宇治植物公園             

 

幹三 選

 

園児帽色ごと群れて秋の駅     翠

師に告げむ花すすき今美しと    輝子

大揺れに揺れて音なき竹の春    言成

花梨の実無造作に落ち香りをり   輝子

ハロウインの笑ふ南瓜に迎へられ  眞知子

◎談笑の間も花撫でて菊師かな   翠

まだ残る枯蓮ゆらし風過ぐる    眞知子

◎かさこそと踏みゆき秋の日の匂ひ 暁子

いつになくしやがみて触るる草の花 邦夫

灌木の描く亥の顔秋日和      翠

落葉径行く乾きたる音たてて    輝子

秋天へ特急このまま登りさう    暁子

風の間に木の実の落つる音聞かむ  輝子

◎一人来て紅葉明りに包まれる   暁子

大菊花芯にうす紅くぐもらせ    兵十郞

人気無きハロウイン館の幽気かな  翠

青空と風の中なり冬桜       兵十郞

暴風に耐えし欅の黄葉散る     兵十郞

樹の幹に遠き日のこと秋深し    邦夫

◎秋風を手に載せしばし佇めり   邦夫

◎秋日差すべり落ち来る竹の幹   暁子

 

暁子選

  

◎園児帽色ごと群れて秋の駅    翠

◎香り嗅ぐことに始まる菊花展   幹三

師に告げむ花すすき今美しと    輝子

大揺れに揺れて音なき竹の春    言成

慈しみ秘め手を結ぶ仏手柑     乱

揺れながら紅葉していく梢かな   幹三

ハロウインの笑ふ南瓜に迎へられ  眞知子

ずつしりと胸に迫れり秋薔薇    邦夫

やはらかく土打つ音や木の実落つ  幹三

◎談笑の間も花撫でて菊師かな   翠

走り根の木の実止めたる苑の道       兵十郞

灌木の描く亥の顔秋日和      翠

落葉径行く乾きたる音たてて    輝子

秋の日に壁泉の水煌けり      邦夫

大菊花芯にうす紅くぐもらせ    兵十郞

水音に和して揺るるや秋桜     輝子

◎高々とタビビトノキてふ秋日燦  瑛三

人の顔並べるやうに菊を置く    幹三

◎倒木にまつ赤な茸生えしまま   幹三

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