待兼山俳句会
第628回 令和元年11月18日
兼題 冬耕・神農祭(幹三)
大根・石蕗の花(暁子)
選者吟
大根の暗き土中に尖りたる 幹三
冬耕の人にも吾にも帰る家
冬耕の人のときどき見る遠く
連れまはり神農の虎欠伸する 暁子
花石蕗の黄は晩年に似合ふ色
石蕗の黄の輝き病癒ゆるらし
選者選
幹三選
わが恋は幼なすぎしや石蕗の花 昴
静謐の句座に石楠花帰り花 兵十郎
娘の大根刻む速さは母譲り 洋一
◎冬耕の畦に置かれしランドセル 正信
尖りたる心にそつと煮大根 翠
◎冬耕の人帰りゆく明日も晴れ かな子
無頼派の逝きし小島や石蕗の花 正信
小さき神小さく祀り神農祭 言成
◎冬耕や裏返されし土の色 輝子
◎大根を煮含めて待つ家族あり 太美子
架に干す大根の白き日和かな 瑛三
石蕗の花ほめつ回覧板渡す 眞知子
真夜中のガウンをはおりオリオン座 橙
二上に日の当たる午後石蕗の花 輝子
向ひ屋の瓦まぶしき冬日和 洋一
石蕗の花陶の花瓶に入れましょう 朱美
◎大阿蘇の水吸ひ上げて大根畑 正信
山路来て人里近し石蕗の花 朱美
◎頑固者の父の匂ひや石蕗の花 安廣
救急車照らす狭庭に石蕗の花 兵十郎
おうと投げおうと受け止む懸大根 昴
鼻突かぬやう柊の花の香を 乱
神農の虎の首輪の赤き事 橙
神農の虎の尻尾の高々と 橙
大根煮は上上けふもよき日なり かな子
蒼枯たる生薬の店神農祭 輝子
冬耕の逞しき腕土匂ふ 安廣
石蕗の黄の輝き病癒ゆるらし 暁子
夕星や大根を煮るふくふくと かな子
暁子選
神農さん上らせ給へ老いの坂 乱
大根の白きを炊いて鼈甲色 言成
柊の小さき花に鋭き葉 橙
◎取りたての大根おろし一菜に 嵐耕
◎山茶花や老舗に探す夫婦箸 正信
薬学部出俳友多し神農祭 乱
冬耕す生ごみ堆肥骨貝殻 翠
◎日の入りに待つたかけつつ冬耕す 和江
尖りたる心にそつと煮大根 翠
無頼派の逝きし小島や石蕗の花 正信
冬耕や心の虫を日に晒す 昴
冬耕や裏返されし土の色 輝子
◎留守がちの家守るかに石蕗の花 眞知子
ビル狭間賑はふ二日神農祭 太美子
花石蕗の化身のやうにてふあそぶ 太美子
また一年健康託す神農祭 言成
地下鉄に神農の虎沈香の香 和江
二上に日の当たる午後石蕗の花 輝子
信玄の隠し湯へと枯るる中 遊子
◎大阿蘇の水吸ひ上げて大根畑 正信
放送は猪出没と畑大根 和江
地の神と大根引きあふ力瘤 正信
◎おうと投げおうと受け止む懸大根 昴
鼻突かぬやう柊の花の香を 乱
石蕗の黄は少しかげりのある黄色 かな子