待兼山俳句会
第629回 令和元年12月16日
兼題 年の暮・焼藷(幹三)
大根焚・冬の雨(暁子)
選者吟
生国の消えぬ訛や息白し 幹三
猫さがす貼紙濡るる冬の雨
一粒の藪柑子見てゐる鳥よ
決めかぬる間に焼藷屋声遠く 暁子
御利益の一椀千円大根焚
声出さずひと日過ぎゆく冬の雨
選者選
幹三選
盆栽を一鉢買うて年の暮 安廣
音もなく四方を鎮めて冬の雨 太美子
焼藷の笛よく響く夕まぐれ 兵十郎
決めかぬる間に焼藷屋声遠く 暁子
歳の暮夫婦げんかも増えました 朱美
新黒部駅舎かすめり冬の雨 茉衣
病癒え自画像描く年の暮 昴
◎錦市場に言葉押し合ふ年の暮 安廣
念仏も味もしみこむ大根焚 洛艸
駅名となりし母校や冬紅葉 翠
頬杖やまだ降り止まぬ冬の雨 かな子
◎手放しし愛車の跡に冬の雨 和江
◎街灯の明かりに白き冬 かな子
何か吾を追ひ抜きゆきし年の暮 眞知子
美酒入りて少し饒舌納め句座 太美子
◎口中の右往左往や大根焚 翠
◎艶増しぬ明るき句座の藪柑子 兵十郎
冬の雨ひとたび降らば苗根づく 邦夫
声出さずひと日過ぎゆく冬の雨 暁子
検査終へ列に並びし焼藷屋 和江
◎白板にメモ溢れゐる年の暮 洛艸
枯山吹だいだい色は好きな色 橙
冬黄葉二駅歩く御堂筋 輝子
墓は皆海に向つて冬の雨 盛雄
行き過ぎてやはり焼藷買ふことに 輝子
幹伝ひたらたら黒き冬の雨 乱
◎面取りし野菜の並ぶ年の暮 翠
長鳴きの鶏声響く冬日和 遊子
冬の雨玄関脇の母の傘 邦夫
病院の横の日だまり焼藷屋 暁子
暁子選
そと買ふもおやぢ大声焼藷屋 翠
歎異鈔想ひて参ず大根焚 邦夫
焼藷の笛よく響く夕まぐれ 兵十郎
つつましき願ひのありて大根焚 輝子
◎人目あらばがまんの焼芋今うふふ 眞知子
蒸かし藷分けあふ二人しあはせも 嵐耕
独走のランナーに無慈悲冬の雨 洛艸
歳の暮夫婦げんかも増えました 朱美
◎病癒え自画像描く年の暮 昴
スーパーとホームセンター年の暮 邦夫
錦市場に言葉押し合ふ年の暮 安廣
念仏も味もしみこむ大根焚 洛艸
冬の雨不幸は人を優しくす 翠
一粒の藪柑子見てゐる鳥よ 幹三
旋回の機窓に傾ぐ冬銀河 正信
漆黒の熔岩散る浜や冬の雨 正信
手放しし愛車の跡に冬の雨 和江
◎何か吾を追ひ抜きゆきし年の暮 眞知子
艶増しぬ明るき句座の藪柑子 兵十郎
◎メモ帳に文字の錯綜師走来る 正信
猫さがす貼紙濡るる冬の雨 幹三
◎行き過ぎてやはり焼藷買ふことに 輝子