待兼山俳句会
第597回 平成29年11月20日
選者吟
人も入れ時雨の傘でありにけり 浩一郎
神旅のお留守と知れどひた頼む
時雨止み駅に居りたる人帰る
冬うらら肩もみ上手き散髪屋 幹三
どこからかきつと鼬の見てゐる夜
聳やかす肩を時雨に濡らし来る
選者選
浩一郎 選
◎しぐるるやかすかな杜の匂ひして 京子
冬うらら肩もみ上手き散髪屋 幹三
時雨虹箕面の山に橋かけて 嵐耕
老躯湯に沈めて年の瀬の算段 かな子
聳やかす肩を時雨に濡らし来る 幹三
夕時雨音無くぬらす石畳 眞知子
葉の音に時雨るるを知る狭庭かな 兵十郎
◎神の旅ゆつくり雲の動いたる 橙
夕時雨バスも車もライトつけ 嵐耕
◎巫女あまた大前掃いて神送り 洛艸
◎時雨来て濡れてゆくなり車椅子 暁子
砂利船の働く川の時雨るるよ 輝子
国宝展観て京の町冬うらら 言成
◎雀来て身繕ひする今朝の冬 京子
冬晴や小舟の水尾のきらきらと 眞知子
◎ひだまりや鎮守の杜の神は留守 かな子
時雨るるやゴッホの墓を蔦蔽ひ 昴
しぐるるや辞したる人の後ろ影 邦夫
◎しぐるるや船溜から人の声 幹三
鼬跳ぶ滑るがごとくしなやかに 兵十郎
◎鳰浮かび潜りて浮かぶ冬日和 昴
時雨きて犬小屋の主もう居ない 暁子
どこからかきつと鼬の見てゐる夜 幹三
冬日和猫のポーズで背をのばす 輝子
◎静寂の杜の木洩れ日神の旅 京子
噛み合はぬ心そぼ降る時雨かな 安廣
天井裏鼬尻尾で遊びをり 和江
緩やかな独りの暮らし石蕗の花 京子
◎オリーブの青き実ふたつ吾子ふたり
かな子
句座の卓花柊の香のほのと 言成
幹三 選
◎セリフなく舞台で毛糸編む女 陽子
美しき種なし柿の種のあと かな子
◎久々に街へ出づれば時雨けり 浩一郎
時雨傘たためばすでに日差しあり 邦夫
大吉を二回引きたる留守の宮 橙
冬晴や訓練犬の動かざる 兵十郎
◎快晴を残されゆきし神の旅 太美子
一せいに十時開店冬日和 暁子
◎砂利船の働く川の時雨るるよ 輝子
国宝展観て京の町冬うらら 言成
出雲には空港のあり神の旅 瑛三
独り居の湯屋に聞きをり小夜時雨 翠
風やめば一息で済む神の旅 兵十郎
◎しぐるるや辞したる人の後ろ影 邦夫
あの雲に乗り行かれしや神の旅 暁子
流れ来る落葉掬ひぬ露天の湯 洋一
◎蒼空の高さよ神の旅日和 輝子
冬うらら藁を刻みて田に返す 邦夫
◎童顔を一瞬見せて鼬消ゆ 乱
時雨きてたちまち嶺々の紫に 暁子
島の神ちひさき舟で旅立ちぬ 洛艸
人も入れ時雨の傘でありにけり 浩一郎
朝立ちに風吹き止まず神の旅 嵐耕
◎天井裏鼬尻尾で遊びをり 和江
緩やかな独りの暮らし石蕗の花 京子
正座して眺むる庭や時雨来る 輝子
柊の花馥郁と鬼門守る 瑛三
神の旅ゆつくり雲の動いたる 橙