待兼山俳句会
第619回 平成31年4月15日
兼題 草若葉・鳥の巣(鳥一切)(幹三)
春昼・花御堂(暁子)
選者吟
春昼のウエイトレスが皿を割る 幹三
鴉の巣町一番の高き樹に
花御堂覗けば笑みてをられけり
駅長の絶えず気になる燕の巣 暁子
花御堂持ち来し供華を屋根に足す
天を指す釈迦の指先にも甘茶
選者選
幹三選
◎花御堂屋根も柱も花づくし 言成
◎傾きしまま鳴る時計春の昼 昴
春昼や隣の翁の下駄の音 邦夫
◎バス待ちの楽しくなりぬ燕の巣 翠
◎天を指す釈迦の指先にも甘茶 暁子
人の輪の解けるを待ちて花御堂 洛艸
鳧の巣のあのあたりらし声はげし 眞知子
◎耳遠し安楽椅子は春の昼 りょう
腹這うてアルバムを繰る春の昼 安廣
藁屑のちらりと見えて雀の巣 兵十郎
春愁のもつれて解けぬ錨草 瑛三
巣箱かけ毎朝覗く慣はしに 洋一
石畳ながなが続き花御堂 昴
春の昼どこかで時計鳴つてゐる 瑛三
駅長の絶えず気にする燕の巣 暁子
花御堂人差し指の先を見て 橙
ハーモニカ吹く楽しみも春の昼 太美子
庭隅にまあるく育つ蕗若葉 言成
花の苗やりとりするも春の昼 洛艸
◎ビルの間に野の花あつめ花御堂 正信
花御堂持ち来し供華を屋根に足す 暁子
◎チェーンソー止みて牧場の遅日かな 正信
やはらかき風の渦あり萩若葉 邦夫
ひと雨にわつとはびこる草若葉 眞知子
壁塗りの見つけ告げたり雀の巣 邦夫
対岸のトランペットや春の昼 正信
伸びるだけまた伸びるだけ草若葉 嵐耕
立話犬もじやれ合ふ春の昼 洛艸
観覧車ぼんやり回る春の昼 昴
暁子選
草若葉眼に映るものすべて佳し 朱美
春昼やフラワーポット並ぶ 兵十郎
花屑と泥を散らして鯉悠々 乱
◎唐突に雉子飛びたてり阿騎野原 輝子
◎草若葉掴み急登の一歩かな 翠
子らが来て鳥の飛び立つ花御堂 昴
◎バス待ちの楽しくなりぬ燕の巣 翠
神妙に順を待つ子や花御堂 邦夫
カップルや等間隔の草若葉 りょう
蕗の薹東清酒に西焼酎 遊子
春昼や踏切渡る人もなく 嵐耕
裃で宿の主人も花会式 太美子
◎春昼や独り謡の間のびして 洋一
腹這うてアルバムを繰る春の昼 安廣
我が軒を好きに使うて雀の巣 幹三
蛇行する川ふち取りて草若葉 橙
表札の残る廃家の燕の巣 正信
伸びて来てなほ伸ぶ力草若葉 兵十郎
◎春昼を光と影の石庭に 乱
床屋との弾む会話や春の昼 邦夫
日曜日車内は饒舌春の昼 橙
チェーンソー止みて牧場の遅日かな 正信
やはらかき風の渦あり萩若葉 邦夫
◎大阿蘇は緑の炎草若葉 盛雄