待兼山俳句会
第608回 平成30年7月23日
選者吟
心浮く夕べ開かむ合歓の花 浩一郎
取るものはみな取り払ひ夏座敷
縦横に風吹き抜けて夏座敷
長々と山羊鳴き合歓の花は咲く 幹三
なりたきは絵本作家よ合歓の花
炎昼は懐かしきもの白きもの
暮れゆくを急がぬ空や合歓の花 暁子
夏座敷海に向かひて開け放つ
唱歌聞こゆ青田の中の小学校
選者選
幹三選
暑気払ひ越後の酒の効きめかな 和江
夏座敷とは言へ風の生温き 橙
幼子の答ふる眼涼しかり 邦夫
座布団に幼児眠れる夏座敷 昴
合歓盛りヘアピンカーブまがるたび 輝子
遠山脈(なみ)二十五階の夏座敷 京子
◎通院の森のかかりの合歓の花 元彦
◎暮れ残る空にとけ込む合歓の花 眞知子
白髪なる父との囲碁や夏座敷 邦夫
◎幽霊図かすかにゆれむ夏座敷 兵十郎
一面の青田の中に身を置きぬ 兵十郎
◎花散りて合歓の木蔭と知りしこと 瑛三
◎小上りに古きそろばん夏座敷 和江
夏座敷風に驟雨のくる匂 輝子
◎いづくかに青田のあらむ風の香に 兵十郎
唱歌聞こゆ青田の中の小学校 暁子
縦横に風吹き抜けて夏座敷 浩一郎
◎奥の間の深き陰りや夏座敷 兵十郎
青田中卑弥呼の墓へ抜ける径 輝子
夏座敷海に向かひて開け放つ 暁子
町中(なか)の青田は風の通り道 言成
◎夏座敷設へ風を待つばかり 太美子
借景の山を間近に夏座敷 洛艸
汗の子をつるりと剥きて丸洗ひ かな子
◎車窓より風を見てゐる青田かな 太美子
さわがしく少し悲しき行々子 かな子
山脈へ広がる青田風の道 京子
暁子選
水抱き日々稔りへと青田かな 眞知子
座布団に幼児眠れる夏座敷 昴
反り返り斑点見せて鹿の子百合 乱
星あまた透かせ花合歓眠りをり 太美子
◎遠山脈二十五階の夏座敷 京子
暑気払ひ一杯がまた暑気を呼び 輝子
炎昼は懐かしきもの白きもの 幹三
暮れ残る空にとけ込む合歓の花 眞知子
浄土は西エデンは東合歓の花 昴
そばかすの似合ふ美女なり鹿の子百合 翠
万緑に読経のひびき滲(し)みにけり 遊子
荒ぶりし木曽三川に青田風 和江
石庭へ静座の異人夏座敷 翠
◎孫娘やつと入社の夏座敷 元彦
◎なりたきは絵本作家よ合歓の花 幹三
◎象潟てふ町過ぎにけり合歓の花 輝子
詩仙らの四畳半なる夏座敷 翠
託児室窓より覗く合歓の花 和江
大好きな鳥獣戯画の夏座敷 元彦
暑気払へとや賜はりしディナーセット
太美子
青田中卑弥呼の墓へ抜ける径 輝子
◎鉄板焼五人並んで暑気払ひ 言成
町中の青田は風の通り道 言成
吟行あと京で一献暑気払ひ 瑛三
暑気払ひと言うてよく飲むおやじかな
かな子
◎夏座敷一族郎党経を聞く 乱