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第631回 令和2年2月17日

 

兼題 野焼く・木の実植う(幹三)

   雛菊・若布(暁子)

 卓上に 松雪草(スノードロップ)

     クロッカス・梅・椿

選者吟 

鳶高く鳴いてをりけり木の実植う   幹三

トトロ棲む森となれよと木の実植う

木の実植うほんのりぬくき土の中

草食みて野火育ちゆく速さかな    暁子

走りゆく野火見し夜は眠られず

ポケットに持ち帰りたる木の実植う

選者選

幹三選 

雛菊や拙きピアノ聞こえくる     輝子

雛菊の出窓に日差濃くあたり     言成

雛菊の花壇の縁のひとならび     邦夫

◎門ごとに雛菊ならぶ好きな道    朱美

雛菊の小鉢机上に稿起こす      洛艸

朝市の岩手産てふ若布買ふ     眞知子

◎猛り立つ犬なだめつつ野焼かな   洛艸

末黒野に何ついばむか鳥の影    眞知子

大粒の潮のざらりと若布干す      橙

ポケットに持ち帰りたる木の実植う  暁子

◎不幸知らぬ少女の日々よ雛菊よ    翠

バス巡る浦曲浦曲に若布干す    太美子

◎駈けあがる野火の焔の天に果つ   邦夫

雛菊咲く道をたどれば幼稚園     瑛三

斑鳩の野焼く煙よ遠き日よ      安廣

走りゆく野火見し夜は眠られず    暁子

明るさは昨日のままに冴返る    太美子

髪染めて華やぐ妻に春の雪     りょう

木の実植う水に沈みしもの選び   兵十郎

◎太陽の歪む野焼の怒涛かな     正信

◎クロッカス咲いて始まる庭仕事   輝子

雛菊の鉢を囲みて座る子ら      洋一

野火走る地の凸凹をなぞりつつ     乱

細く細く松雪草の茎なれば     兵十郎

春寒し一捕手の逝く妻を追ひ      乱

野を焼くや男連中引き締まる     邦夫

クロッカス大きな声で歌唄ふ      橙

◎木の実植う古代の人と繋がりて    橙

縄文人めきて荒野に木の実植う    正信

畦焼のにほひ残して里暮るる      翠

愛用の砥石も凹に木の実植う     和江

暁子選 

花壇掘れば植ゑし木の実の二つ三つ 兵十郎

干若布炙り重さの消えゆけり     幹三

阿蘇野焼きじわじわと城の再建    和江

木の実植う孫仰ぐらむ高木を      乱

野焼き終え足に優しい若草山     朱美

不幸知らぬ少女の日々よ雛菊よ     翠

ふうはりと落ち来し如く松雪草    幹三

◎道半ば被災の城へ木の実植う    盛雄

一斉に刈場へダッシュ若布刈り舟   洛艸

煙追ひ煙に追はれ野火走る       昴

◎湯に放つ若布は故郷鳴門色     和江

◎明るさは昨日のままに冴返る   太美子

火の神と風神相打つ阿蘇野焼き     昴

細く細く松雪草の茎なれば     兵十郎

対岸の野焼き美し淀川原       瑛三

◎天地人焦がして阿蘇の野火奔る   正信

海に入りて採り来し若布汁旨し    安廣

トトロ棲む森となれよと木の実植う  幹三

◎遠野火のけむりは淋し夕まぐれ  かな子

立上がる炎柱阿蘇の野焼きかな    盛雄

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