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第620回  平成31年5月20日

兼題 五月(ごがつ)・烏賊(幹三)

新茶・花水木(暁子)

 

選者吟

烏賊を裂きながら嫉妬の話する    幹三

烏賊干して同じ名多き漁師町

名を聞きて少女笑ひぬ金魚草

 

風受けて羽搏く如し花水木      暁子

生駒嶺の色濃くなりし五月かな

花烏賊の腸抜かれゆく速さかな

 

選者選

幹三選

饒舌な逮夜の僧と新茶汲む      輝子

◎烏賊釣の昼は静かに船洗ふ    兵十郎

明るさをあつけらかんと花水木    邦夫

◎新しき街の歳月花水木      太美子

中庭に腰掛けて待つ五月かな      橙

紅白の尾鰭重なる金魚草       言成

五月五月樟の木に花咲いてをり   兵十郎

◎花烏賊の腸抜かれゆく速さかな   暁子

くちなしは白き言葉のごとく群れ   盛雄

ばあちゃーんと駈け来る道に花水木  朱美

目印は卯の花垣と聞いて来し     瑛三

瀬戸内の小舟の後に卯波かな      橙

赤白黄金魚の夢の金魚草        翠

◎島昏れて烏賊釣舟が港出る     盛雄

◎駅よりは五月の風に甘えたり    邦夫

◎軽々と空に浮かびし花水木     暁子

配達の箱の中身は薔薇の鉢       橙

料亭の生簀に烏賊のまるまると    洛艸

◎ドア開放世間が近くなる五月     翠

本堂に響くソプラノ五月かな     洋一

虚空睨む烏賊の目並ぶ店の先     安廣

元寇の浜に烏賊干す女将かな     正信

事多きことも楽しき風五月      和江

夕凪や明石大橋刺さる島        橙

日の光受けて溢れて花水木      瑛三

生駒嶺の色濃くなりし五月かな    暁子

初月給もらひし子より新茶着く    輝子

卯の花や曇りの午後をゆるく咲く  眞知子

待ち侘びる細きうなじに青時雨   りょう

人吉号乗せ転車台山みどり     かな子

 

暁子選

部活はや軌道にのりし五月かな    洛艸

新しき街の歳月花水木       太美子

◎くれなづむ頃に眼をひく花うつぎ 眞知子

炙り烏賊反り返るだけ反り返る    幹三

◎紅白の尾鰭重なる金魚草      言成

烏賊干して同じ名多き漁師町     幹三

特急は鳩のマークや青嵐        橙

腹足と分け酒支度桜烏賊       和江

◎連連と新茶の幟門前町       洛艸

手に包む茶碗に香る新茶かな     安廣

烏賊干すや厨に残る腸の嵩      正信

奥駈を五月の雲負ひ駈け抜けり     昴

◎水木咲くふはりと宙に浮く如く   幹三

配達の箱の中身は薔薇の鉢       橙

ドア開放世間が近くなる五月      翠

新茶淹れ語るでもなし老二人     安廣

船頭唄ふ水郷五月水匂ふ       瑛三

◎本堂に響くソプラノ五月かな    洋一

元寇の浜に烏賊干す女将かな     正信

器にも湯にも細心初新茶      太美子

夏空に白球刺さる逆転打       安廣

針のごと新茶揉み出す指無骨    兵十郎

卯の花や曇りの午後をゆるく咲く  眞知子

烏賊釣の昼は静かに船洗ふ     兵十郎

金魚草どれが尾鰭か胸鰭か       乱

人吉号乗せ転車台山みどり     かな子

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