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第600回 平成30年1月22日

 

選者吟

海鳥のひとつ東へ初御空     浩一郎

庭に日の零るるところ寒雀

老二人いたはり合うて寒に入る

 

幼子のつかまり立ちて春を待つ  幹三

寒雀みな帰る場所持つてをり

餅花の揺れて次々寄席の客

 

選者選

浩一郎 選

◎父母もフェルトの靴も春待てる 輝子

ビル風の強まる日々や寒に入る  嵐耕

◎佳きたより届きて一人春を待つ 嵐耕

◎餅花の揺れて次々寄席の客   幹三

◎大寒の街ポケットに飴ふたつ  輝子

立ち座りにも掛け声や寒の入   暁子

初空の下初孫の泣き笑ふ     乱

計画の日々に整ひ春を待つ    嵐耕

首かしげふくら雀の並びをり   京子

九十路すぎ春待つ心つのりけり  洛艸

◎寒雀みな帰る場所持つてをり  幹三

純白の雲清清し初御空      京子

春近しもう吉報のとどく頃    輝子

手のひらで手の甲さする寒の入  幹三

宿題の山ほど残り寒に入る    洛艸

初空や人で賑ふ天守閣      昴

◎本堂へ素足で渡る寒の入    安廣

春を待つ春日社の巫女の舞    安廣

動かざる池の水面や寒に入る   言成

樹から樹へ転げるやうに寒雀   洛艸

◎物の影殊更しるく除夜の鐘   京子

◎びんびんと空気張り詰め寒の入 昴

媼ひとり寒の畑に黙黙と     輝子

足許を離れぬ駅の寒雀      暁子

待春の萌し求めて野辺を行く   乱

枕辺にランドセル置き春を待つ  安廣

◎句座にあり花びら散らす寒桜  兵十郎

日だまりに爺ひとりゐて寒雀   輝子

待春のチーズケーキを明日焼かう 翠

待春の老女ピンクの髪飾り    翠

 

幹三 選

冬桜小さき春を零しつつ     安廣

待春や研ぎ澄まされし受験生   洛艸

父母もフェルトの靴も春待てる  輝子

大寒の足音硬く遠ざかる     輝子

◎千枚田その一枚に寒雀     兵十郎

◎盲導犬立てば大きや春隣    暁子

大棟や初空青く静かなり     邦夫

立ち座りにも掛け声や寒の入   暁子

薄き日を棚田棚田に寒の入    瑛三

庭に日の零るるところ寒雀    浩一郎

◎思ひ切り開いてゐたる冬桜   橙

◎老人の戸締り早む寒の入    邦夫

寒に入るてふ言の葉の歩み出し  兵十郎

◎初空や人で賑ふ天守閣     昴

千両の実のほろほろと友病みぬ  かな子

ハンドクリームの残り少なし春を待つ

                安廣

動かざる池の水面や寒に入る   言成

◎樹から樹へ転げるやうに寒雀  洛艸

◎日と雨を受けて大樹の春を待つ 邦夫

びんびんと空気張り詰め寒の入  昴

水仙に見つめられしといふ女   言成

◎乳母車連なりて来る春隣    暁子

老犬に毛布を掛けて深き夜    橙

日だまりに爺ひとりゐて寒雀   輝子

口々に何か喋れる寒雀      暁子

待春のチーズケーキを明日焼こう 翠

◎淡き日の雲間にちらと寒の入  乱

長い長い豚まんの列春節祭    陽子

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