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第615回 平成31年1月7日

  兼題 初句会・寒の水(幹三)

     賀状・凍蝶(暁子)

選者吟

筆勢に師の気迫知る賀状かな    幹三

まだ青き竹柄杓にて寒の水

どさといふ音百人の賀状来る

眠られぬ夜半ひと口の寒の水    曉子

駅前で買ふ雪靴や旅半ば

いと古き昇降機なり初句会

 

選者選

幹三 選

◎凍蝶や鈍き光の山の池      昴

米を研ぐ指先白し寒の水      かな子

赤き顔混り寿ぐ初句会       兵十郎

◎飛び立ちし凍蝶に行く当てありや 乱

ふらふらと水仙の香につられ行く  橙

獅子舞の口赤々と宮太鼓      盛雄

やつとこさ家族揃ひし六日かな   元彦

賀状来て幸の願ひも同じ数     朱美

湯あみより戻れば年を越えてをり  太美子

凍蝶に伸ばしかけし手止まりけり  眞知子

この服を着て行きませう初句会   橙

凍蝶の翅ほろほろと崩れさう    暁子

◎初鏡べそかかないでにつこりと  茉衣

手に受けて五臓六腑へ寒の水    邦夫

◎いと古き昇降機なり初句会    暁子

◎純白の雲を映して寒の水     安廣

◎眠られぬ夜半ひと口の寒の水   暁子

寒の水差し活花の仕上りぬ     兵十郎

二度三度羽ばたく仕草蝶凍てぬ   洛艸

句座遠し想ひ近かれ初投句     和江

芭蕉逝きし地は指呼の間初句会   乱

◎温むる小さき冒険初句会     邦夫

賀状読むくせ字は若き日のままに  輝子

駅前で買ふ雪靴や旅半ば      暁子

凍蝶はそつと見守るほかはなし   洛艸

 

暁子 選 

どことなく華やぎ秘めて初句会   太美子

◎生か死か凍蝶そつと鋤き込まる  邦夫

◎赤き顔混り寿ぐ初句会      兵十郎

にぎやかな宴果ていよよ初句会   洛艸

飛び立ちし凍蝶に行く当てありや  乱

ツーと喉過ぐる感触寒の水     輝子

◎凍蝶の破れし翅にある苦闘    眞知子

出す出さぬまたちぐはぐに年賀状  翠

獅子舞の口赤々と宮太鼓      盛雄

挫折てふ重き言葉や年の暮     かな子

◎パリからの賀状一族名を連ね   昴

鴨よりも人に寄り来るゆりかもめ  元彦

◎凍蝶の生死の間(あはひ)たゆたひて 乱

寒の水今喉通過胃に着けり     昴

手を借りること又増えて年用意   太美子

いざ傘寿徒歩二時間の初詣     翠

葉牡丹の花はどこから始まりぬ   橙

凍蝶をふんと嗅ぎ猫日溜りへ    翠

お百度を終へてひと口寒の水    輝子

◎兵撃たれ西部戦線冬の蝶     りょう

◎筆勢に師の気迫知る賀状かな   幹三

日だまりへ動かぬ凍蝶移しやる   眞知子

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