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第592回 平成29年6月29日

     吟行 尼崎市

 

選者吟

茄子を売る男の声の遠くまで   幹三  

捩花のまはりを廻る男かな

小刻みに雀の鳴きて朝曇り

選者選

幹三 選

秀吉の逃げ込みし寺濃紫陽花   暁子

◎外つ国の蟻の窺ふ尼崎     元彦

公害の街いま美しく七変化    瑛三

梅雨の会話はずむ寺町たこ焼屋  翠

昼食を子雀と摂る小さき森    兵十郞

◎曲がりても曲がりても土塀梅雨深し  

                暁子

◎咲き初むる蘇鉄の花や寺の街  兵十郞

夢一つほっとはき出す蓮一輪   安廣

白靴の駆けぬけてゆく商店街   洋一

女たちランチに冷えたビール干す 輝子

火灯窓(かとうまど)描きし壁や額の花

                言成

梅雨空に三重塔朱色映ゆ     翠

俳聖の句碑を黙読梅雨湿り    洋一

存在を草に残して蜥蜴消ゆ    暁子

川端に古き飴屋や梅雨晴間    瑛三

尼崎小玉西瓜は八百円      兵十郞

◎下町の人は早口かき氷     暁子

公害も昔語りに街皐月      瑛三

◎駅前の大樹に梅雨の匂ひあり  邦夫

夏蝶と共に寺門をくぐりけり   暁子

◎寺町はただ塀ばかり凌霄花   兵十郞

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