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第601回 平成30年2月19日

 

選者吟

解の森に水音を聞く日かな    浩一郎

猫の恋果てて日差しの縁にをり

姉さまと淡島様へ針供養

水色の指貫添へて針供養     幹三

心外な目して公魚釣られけり

凍解の岸より舟を押し出しぬ

 

選者選

浩一郎 選

恋猫の闇を走りて残る声     嵐耕

よき知らせ届きぬ春の旅路より  太美子

◎針供養中に五寸の畳針     幹三

凍解や庭石に来る鵯一羽     言成

◎公魚の淡き光となりて落つ   邦夫

薄氷の張る水鉢の青い花     茉衣

鳴き声に濁点まじる猫の恋    幹三

凍解や土変はりゐて鍬利かず   邦夫

恋猫がソファーに昼寝してをりぬ かな子

◎凍ゆるみ立直りたる花もあり  太美子

◎凍解に汚れて草のなほ青し   安廣

二月の空に煙突二本伸ぶ     橙

立春や輪になつて飛ぶ鳩の群   京子

◎ボタンつけほどの針使ひ針供養 かな子

雲の色風の風情も春近し     眞知子

心外な目して公魚釣られけり   幹三

納めらる鈍き光の畳針      兵十郎

公魚を釣る人影の動かざる    安廣

公魚の朝日に光る網揚ぐる    昴

◎耕せば土黒ぐろと春隣     安廣

針供養和服の娘らの寄る茶房   暁子

◎凍解の草をむしりて月参り   洋一

針供養形見の紬身になじみ    眞知子

折れ針に心添はせて針供養    翠

吾の帰国清らに待てりシクラメン 乱

◎凍解の岸より舟を押し出しぬ  幹三

老若の睦び合ひつつ針供養    洛艸

凍解の足元ばかり見て歩く    かな子

形見なる裁縫箱や針供養     暁子

◎水色の指貫添へて針供養    幹三

 

幹三 選

◎恋猫の闇を走りて残る声    嵐耕

◎御神渡の湖公魚の金色に    瑛三

◎猫の恋鎮まりし庭天狼星    翠

わが庭を又横切りたるうかれ猫  太美子

◎恋の猫へこみし鈴を鳴らし行く 昴

天空の凍ゆるみしや暈崩る    昴

凍解や靴底形の水溜り      暁子

恋猫のわき出すやうに集まり来  輝子

恋猫のかぼそき声で鳴くときも  暁子

恋猫や窓を覗きて去りにけり   洋一

凍解に汚れて草のなほ青し    安廣

母の手の温きを偲び針供養    和江

◎凍解を踏めば吹き来る風匂ふ  安廣

この針を持つて行かうか針供養  橙

◎納めらる鈍き光の畳針     兵十郎

公魚のぷつくり白い腹旨し    橙

◎針供養地球の裏はカーニバル  和江

姉妹会うて久しき針供養     浩一郎

鳥の目で見たきわが町雪の朝   暁子

◎草餅の三つ並んだ左はし    橙

指の削げ取つてくれもす針供養  乱

運針は男子に負けて針供養    翠

凍解けて子が子を背負ひ遊びたり 遊子

凍解やわが靴音の柔らか     京子

針供養土器とならびて骨の針   輝子

シクラメン指で摘んで砂糖菓子  橙

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