待兼山俳句会
第617回 平成31年3月18日
兼題 霞・西行忌(幹三)
春の雪・菫(暁子)
選者吟
嶺のまた向かふに嶺や西行忌 幹三
日時計の十時あたりに花菫
背の高き鳥立つてをり朝霞
引越しの荷に春の雪載せて来ぬ 暁子
菫ほどの小さき世界に生きて来ぬ
老いの杖心して突くすみれ草
選者選
幹三選
三山も塔もかすみて大和かな 瑛三
霞はれダウンタウンが一望に 茉衣
駅蕎麦を掻き込む朝や春の雪 正信
春霞五島に隠れ切支丹 輝子
夕がすみ母子のうたふ声のして かな子
一鉢の菫に和む今日の句座 言成
飛行機は四十五度に西行忌 橙
須磨明石沖行く鉄の船霞む 言成
◎淡雪や組み立ててゐる屋台の灯 正信
◎田の人も向ふの人もかすみをり 眞知子
◎鋤いてゆく土に次々春の雪 暁子
消えて良し消えなくて良し春の雪 朱美
何事もなき日よ五時の鐘霞む 輝子
◎菫草踏みさうになり一歩跳ぶ 安廣
西行忌出戻り橋の杉暗し 和江
山超えて街に届きし春の雪 言成
春雷を聞きゐてひとり安らけし 太美子
肩に来て雫になりぬ春の雪 昴
世離れもとぎれとぎれや西行忌 遊子
みちのくの浜に霞める羅漢かな 正信
◎卓上に森の気配や花馬酔木 兵十郎
◎春の雪任地に運ぶ荷の僅か 輝子
◎競走馬嘶く馬場のすみれ草 正信
◎死にやうに願ひなどなし西行忌 翠
我のごと長けすぎ蕗のしゆうとめと 暁子
咲き初めし菫の鉢を門口に 太美子
春の雪軒の雫のほとほとと 安廣
暁子選
応仁の乱ありし街花菫 幹三
◎海の門にタンカー霞む坂の町 正信
春雷や鴉自在に三次元 翠
淡雪の束の間降つてふつと消え 眞知子
白帆見て下る古道すみれ草 昴
駅蕎麦を掻き込む朝や春の雪 正信
春霞五島に隠れ切支丹 輝子
◎老桜の覆ふ墓あり西行忌 兵十郎
湖面なほ霞のままに竹生島 遊子
◎淡雪や組み立ててゐる屋台の灯 正信
青年よと指さす像に春の雪 幹三
眠るごと霞む盆地に過疎の里 洛艸
みちくさも人生の糧すみれ草 洋一
◎ヌートリア一匹混じる鴨の群 元彦
◎目覚むれば摩天楼より春の雪 正信
◎臥龍梅大地のたうつ息吹かな 盛雄
◎登りきて花の山なり西行忌 輝子
入寮の朴歯の下駄に春の雪 瑛三
朝霞六甲連峰はるかなる 嵐耕
たつた二人住める島とや春の雪 輝子
◎断捨離はとうに諦め西行忌 瑛三
急流の音だけ高し遠霞 盛雄
満願のスーパームーン西行忌 りょう
塵ぬぐひ手に取る古書や西行忌 洋一
塔二つ抱きて二上春 輝子
競走馬嘶く馬場のすみれ草 正信
濡れていく外湯巡りや春の雪 洛艸